◆防災技術ラボ津波救助装置

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みじんこみじんこ総研

津波救助装置の原理


津波救助装置が遭難者を水面に押し上げる原理について


津波救助装置は、およそ水平方向に漂着した遭難者に対し、上方への反力を作用させることにより、当該遭難者を水面に押し上げます。

傾斜前面により遭難者を押し上げる構造とした場合の遭難者の運動の変化を下図に示します。

傾斜前面による押し上げ機構

遭難者は、漂流中や漂着前の位置M1では、ほぼ水流と同じ速度V1にて装置の前面に近づいていきます。

遭難者が当該装置に漂着し、M2にて傾斜前面に衝突した際、この傾斜前面との間の摩擦を無視できるものとすると、速度V1の傾斜前面に平行な方向の成分VPは維持されることになります。

それに対し、垂直な成分については、遭難者は速度VR1にて傾斜前面に衝突しますが、傾斜前面に接触しているわずかな間、身体と装置との接触等の状態により、傾斜前面は変化し続ける反力FNを遭難者の身体に作用させ、反発する場合は当該遭難者の身体に初速度VR2を与えます。当該遭難者の身体はVPとVR2を合成した速度V2により、上方に向けて移動を開始し、一旦装置の傾斜前面を離れます。

傾斜前面を離れた遭難者の身体は、水流に押されて軌道を変え、M3にて再び傾斜前面に漂着し、反発とならない場合、遭難者は装置を透過する水流の動圧による荷重を受けながら、傾斜前面との摩擦力等と釣り合う速度VP'により、傾斜前面に沿って装置を押し上げられていきます。

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階段の段や段鼻等を、ガイドやスライダー、回転軸等で動作を制御された可動のユニットとし、当該ユニットが水平方向に押し込まれた際に、その先端が上方に跳ね上がる構造とすることで、漂着しユニットの前面に接触した遭難者を上方に押し上げる構造とすることができます。

ここでは、ユニットを回転軸で支持する構造とした例を用いて、遭難者を押し上げる原理を説明します。

回転ユニットによる押し上げ機構

図で示された3つの段と遭難者について、最下段より、遭難者が漂着した瞬間の状態、遭難者の運動方向が上方に変換されている途中の状態、遭難者が上段側に跳ね上げられた状態を表しています。
可動のユニットは、先端を上方に跳ね上げる方向にのみ自由に回転できる構造としています。

遭難者は、当該装置への漂着時、最下段に図示されたようにユニットの前面に接触しますが、当該ユニットは遭難者の身体との接触点CPや最前面(水流の最も上流側)となる部分が回転軸Oより上方に位置する断面形状としているため、遭難者の接触を受けてその先端を上方に跳ね上げながら回転することができます。

このとき、遭難者の身体からユニットの前面に対し、遭難者の体重による慣性力や遭難者が受ける水流の動圧による荷重の合力FHが伝達されますが、FHとユニットの回転軸Oとの鉛直方向のずれδにより、ユニットには回転モーメントが発生します。
当該回転モーメントにより、遭難者の身体には、ユニットの回転軸Oを中心とした接線方向上向きの荷重FTが伝達され、遭難者は上昇を開始します。
別の見方をすると、遭難者の身体には、上記慣性力や水流の動圧による荷重の合力FHと、当該可動のユニットから受ける、回転軸Oから接触点CPに向かう方向の反力が作用し、これらの合力FTにより、遭難者は上昇を開始します。
尚、ユニットの前面には、滑り止めの凹凸を付けてこれを遭難者の身体に食い込ませる等の方法により、荷重FTが遭難者の身体に極力ロス無く伝達されるようにします。
上記により、当該装置に漂着した遭難者は、身体の運動方向を、水流に沿った水平方向から、上向きの方向に変換することができるものとなります。
但し、ユニットの回転軸や前面の位置関係等の条件によっては、漂着時、遭難者の身体には局所的に大きな荷重が作用することになりますので、ユニットの回転軸などに緩衝機構を持たせることが望まれます。

ユニットが回転を始めると、接触点CPを介して遭難者の身体が上方に押し上げられ、中段に図示されたような状態となりますが、この時、遭難者の身体の中心部分はまだ下方に残っている可能性がありますので(遭難者の身体の重心または水流の動圧による荷重が作用する中心となる部位が下段側に残ったままの場合、当該遭難者は上段側に誘導されなくなるため注意が必要です)、ユニットは基本的に回転中は最前面(水流の最も上流側)となる部分が常に回転軸Oより上方に位置するような断面形状とし、遭難者の身体の中心となる部位を確実に上方に押し上げられるようにします。
尚、ユニットが回転を終えた後も、下段側に残った身体の部分を確実に上方に誘導できるように傾斜前面を形成させる構造とした場合はこの限りではありません。この構造は各種構造例にて例示しております。

これらにより、図の最上段部分に図示されたように、当該遭難者は、上段側に移動でき、これを繰り返すことにより、漂着した遭難者は水面まで押し上げられることとなります。

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回転軸によりユニットを支持し制御する構造と同様に、漂着した遭難者の身体がユニットを水平方向に押し込んだ際にユニットの先端を跳ね上げて当該遭難者を上昇させるものですが、回転軸に代えてガイドやスライダーを用いることにより、ユニットの動作や軌道を詳細に制御でき、遭難者の衝突時の衝撃をより小さなものとしつつ、遭難者の運動方向を滑らかに変換することができます。

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