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はじめに

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 これまでは一律、外出自粛が求められてきましたが、実際に感染が起きるのは、風通しが良く閑散とした屋外空間ではなく、ほとんどが屋内空間においてなのではないでしょうか。また、夏になれば、感染は一旦終息するという話を聞きますが、果たしてそうでしょうか。

 インフルエンザ等の一部のウィルスは、温暖になると流行が終息しますが、これは、喉や鼻の粘膜が潤いウィルスの浸入を防止しやすくなる、ウィルスが多湿環境では水分を吸収して落下し浮遊し続けない、そもそも高温多湿環境ではウィルスは生きられない、といった理由が挙げられるようです。

 しかしながら、コロナウィルスの場合は、高温多湿なブラジル等の地域でも感染が拡大しています。
コロナウィルスは、太陽に晒されると数分で死滅するそうで、湿度が十分にあればインフルエンザ等と同様の理由で感染しにくくなることは考えられますが、人体がキャリアとなり、主に飛沫感染により拡大を続けていることを考えると、感染を広げているのは主に屋内であり、夏になり屋外の気温が上がり日差しが強くなっても、あまり関係ないのではないでしょうか。

 それどころか、涼しい春の間は窓を開けての換気が可能でしたが、梅雨になると雨が降りこむため、また、盛夏にはクーラーを作動させることになるため、窓を締め切ることが多くなり、室内空気も乾燥し、感染防止の観点からは、より不利な状況になるのではないかと考えております。
夏を問題なく乗り切ったとしても、秋・冬になると再流行すると言われています。

 このため、みじんこ総研では、屋内(室内)での感染防止を可能とする空調換気方法の確立が喫緊の課題であるものと捉えており、たたき台となる解決案を、当ページにて提起させて頂きました。
感染防止のための基本的な考え方や原理、具体的な構成例等について提案しております。

 ※ 尚、ここで提案する技術や方法については、一般論や既に行われている方法もありますが、多くはみじんこ総研独自の勝手な推論や対策の提案・提起であり、感染防止効果が確認されたものではありません。また、機能・法規への適合や他者の特許等知的財産権の不侵害を保証するものでもありませんので、ご了承下さい。
近く、日本建築学会や空調衛生工学会、アメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)等から、正式な見解やガイドラインが発出されるものと見られますが、それまでの工学的な検討のたたき台として、また、事業者の皆様の、事業再開の為の対策イメージとして、参考にして頂くことを目的としています。

 現在、世界中でワクチンの開発が急がれておりますが、建築・内装や空調換気設備により、屋内空間での感染拡大を防止する方法を一定程度確立できたなら、ワクチンに勝るとも劣らない感染防止の対策になるものと考えます。
皆様が希望を取り戻し、安心して安全に事業や活動を再開するお手伝いになりましたら何よりです。

 また、現在のところ、場当たり的に記事を追加していますが、間違い等修正し、より有益でわかりやすい情報にアップデートを続けていければ、と思います。

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基本的な考え方

 みじんこ総研が提起する、コロナウィルス等感染防止のための、換気・空調についての基本的な考え方や、背景となる基礎知識について解説します。

オフィスの感染防止方法

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気流の性質について


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一方向流

 通常、空調や換気による気流は、粘性や摩擦が引き起こす渦状の乱流を発生させます。また、空調換気による気流の流速が小さい場合も、対流等の要因が支配的となる部分では、当該気流とは大きく異なる方向の気流を生じます。これに対し、摩擦の小さな平滑な内面を持つダクト内を低速で流れる気流などは、流体全体がほとんど乱れずに単純に平行移動するような流れ(層流)となります。
従来の、クリーンルームに用いられる置換空調の場合、天井から床に平行に空気を移動させるように換気するため、全体が層流となり、局所的に乱流が発生しても、巨視的には確実に換気することができます。このような流れを一方向流といいます。
一方向流は、完全に平行する気流に限らず、放射方向や、屈曲する流れとすることもできます

吹出/吸込

 気流は、同じ風量であっても、吹出と吸込とでは、性質が異なります。

 顔の前方に、限界まで手を伸ばし、口をすぼめて息を吹きかけると、風が届くのが感じられると思います。
ところが、そのまま息を吸い込んでみても、今度は全く風が感じられないでしょう。
息を吹く場合、陽圧(空調では正圧といいます)といって、周囲より高圧で吹き出しますが、この吐いた息は、噴流(ジェット)を形成します。噴流には直進性があり、少しずつ拡散しながらも、遠くまで到達します。

 これに対し、吸い込む息には噴流が発生しないため(正確には口内に対して噴流が発生しますが)、口の周りの空気は、およそ距離に応じた圧力分布となります。同一の風速となる位置を結ぶと、およそ口を覆う球体を形成するものと考えられます。言い換えると、およそ全ての方向に対し均等な気流となるため、吹出による、線形に集中した噴流と比較すると、気流の影響を強く受ける距離自体は小さくなります。

 このように、吹き出しの気流は噴流となり、排気や還気の吸い込みの気流は、吸い込み口に対し、およそ均質な放射状(または竜巻状)の気流を形成しますが、どちらも一方向流を形成します。

吸込口と吹出口での気流の違い

 空調用語では、吹出口から、風速が秒速20㎝になる位置までの距離を、「到達距離」と言います

 吹出の気流は、噴流により長い一方向流を形成するため、汚染した空気を遠方に押し流すことができますが、同時に、汚染した空気を拡散させてしまいます。吸込の空気は、一方向流を形成する範囲は狭いですが、拡散させず、周囲全体の汚染空気を回収することができます。

 気流アレンジメントは、こういった吹出(給気)・吸込(排気)等の気流の性質を踏まえ、吹出口から吸込口まで連続的にスムーズな流れを誘導し、乱れにくい一方向流を形成させることにより、汚染空気の拡散および感染拡大の防止を図るものです。

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空調・換気についての基礎知識

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空調方式の種類

 空調方式には、様々な種類がありますが、ダクトや気流に関する分類としては、中央方式と個別方式があります。
 中央方式は、一般に、大規模な建築物に適用される方式で、空調機械室などに設置した空調機等により外気や還気(一度給気された空気を回収して再利用される空気)を加熱または冷却し、濾過・調湿してダクトを経由して各所に供給する方式です。空調機には、別途屋外空間に熱源ユニットが必要になります。個別方式は、家庭のルームエアコンのように、その場所で直接空気を加熱または冷却し、吹き出す方式です。家庭でもおなじみのルームエアコンや、同様の構造のPAC(パッケージエアコン)、冷温水配管に接続されるFCU(ファンコイルユニット)などがあります。これらの機器は、換気機能を持たないため、別途換気設備が必要となります。
 かつて大規模建築物では、省エネ等の理由により、中央方式とすることが一般的でしたが、PACの省エネ性能の向上や個別制御の利便性により、室外機の設置の都合が付かない場合を除き、PACが採用されることが多くなりました。
 また、中央方式を採用する場合であっても、窓際等の熱負荷の大きな場所の冷暖房を補うため、一般に個別方式を併用します。
中央方式の場合、空調設備は換気設備を兼ねており、新鮮な外気(または回収した還気に外気を混ぜた空気)を、加熱・冷却・濾過・加湿して給気します。

換気方式の種類

 換気方式には、以下の3種類の方式があります。

  • 一種換気
  • 下記の、二種換気と三種換気をバランスさせた換気方式です。室内の気圧は正圧にも負圧にもならないため、隣の部屋や空間との間で空気の流入や流出が起こりにくく、一般に、理想的な換気方式となります。

  • 二種換気
  • 給気により室内の空気を正圧とし、押し出しにより換気する方式です。クリーンルーム等、特殊な用途に用いられます。当該室内はクリーンに保てますが、隣接室に空気が流出するため、汚染物質を排出する室には適切ではありません。

  • 三種換気
  • トイレや浴室の排気のように、排気ファンにより室内の排気を行い、当該室内を負圧(陰圧)とし、ガラリ等により室外の空気を吸引することにより、換気させる仕組みです。汚染物質を発生させる室に最適な換気方法です。

エアフィルタ―・濾過

 空調機のエアフィルタ―には、不織布やグラスウール等のフィルタ―として、一般的な製品の他、実質的にウイルスの大部分を遮断できるとみられるHEPAフィルタ―や、ほぼ全てのウィルスを遮断できるULPAフィルタ―があります。この他、イオナイザーと電気集塵機の原理を用いた空気清浄システムもあります。
 再飛散防止の処理がされていないフィルタ―を使用している場合、交換作業の際に、フィルタ―に付着したウィルスが飛散してしまう可能性が考えられます。作業者の方は、N95以上のマスクやゴーグルにより、十分に感染を予防することが肝要ではないかと考えます。

 ※みじんこ総研では、「気流帯電フィルタ―」という、フィルタ―の構造を考案しております。別途考案した「気流帯電マスク」同様、気流の圧力変動のエネルギーを利用して静電気を起電し、フィルタ―に帯電させ、ウィルスを含む粒子を吸着させるものです(特許出願済)。オープンイノベーション等による共同開発パートナー様を募集中です。

熱交換器

 春・秋は中間期と呼ばれ、外気が適温に近いため、換気を十分行うことで冷暖房に代えることができますが、冷暖房が必要な夏や冬は、換気により室内の涼しさや温かさを排出してしまい、エネルギーのロスになってしまいます。 省エネルギー化の為には、換気設備に熱交換器を設置し、排気中のの温熱または冷熱(熱や冷たさ)を、吸い込んだ外気により回収させることが効果的です。

省エネに効果のある置換空調システムの構成

省エネルギー上効果的な置換空調の構成例

 空調・換気に用いられる熱交換器には、熱交換方式として全熱式・顕熱式があり、熱交換ユニットの構造として回転式・静止式があります。感染防止の見地からは、顕熱式かつ静止式の熱交換器とすることが理想的ですが、空調衛生工学会の見解によると、全熱交換機(静止式)の場合であっても、排気中に含まれるウィルスが、取り込まれた外気に混入する割合は小さく、感染への悪影響はほとんどないものと見られています。


感染防止の原理

 ウィルスを含む飛沫やエアロゾルが放出・拡散されるメカニズムを、勝手に考えてみました。

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 感染者がくしゃみや咳をした際、唾液の飛沫が放出されるのと同時に、上述した、「噴流」が発生します。
飛沫は放物線を描き落下しますが、噴流は恐らく2m程度の距離まで到達し、当該噴流や、噴流が引き起こす周囲への拡散した気流に乗って、濃厚なエアロゾル(水蒸気その他浮遊する粒子)が放出されるのではないかと思われます。

 直射日光が入る浴室で温水のシャワーを使用すると、肉眼でも観察することができる大きな粒子を含んだ水蒸気が立ち上るのが確認できます。シャワーで温められた空気が水蒸気と混じり合って上昇気流を生んでいる為、落下せずに上昇しているのでしょうけど、けっこう大きな粒子でも気流に乗って浮遊できる、ということが言えると思います。シャワーの使用中、換気しなければ、浴室内の相対湿度は100%を維持しますが、通常の環境であれば、このような粒子は短時間で乾燥して消滅してしまいます。
 感染者の咳やくしゃみで考えると、一定の範囲内は、飛沫と同程度の密度でウィルスを含む水蒸気のエアロゾルが浮遊し、大気中で乾燥することにより、内部の塵や菌、ウィルス等が放出され、落下せずに大気中に拡散されるのかも知れません。

 また、スポーツクラブ、ライブ会場、クラブなどでクラスター感染が発生したことを考えると、運動時など、息が荒い時の呼気(吐く息)に強い感染力があるのかもしれません(もちろん3密という条件にもあたりますが、満員電車等、より高密度な空間でもクラスター感染が発生していない場合もあります)。これは、息が荒い時は呼気量が大きいため、大量の水蒸気(エアロゾル)を放出することによるのかもしれません(もしくは呼吸器等の生理的な作用により高密度でウィルスを排出しやすくなるのかもしれませんが)。そうであれば、大量の呼気を含む空気、つまり高濃度のエアロゾルには、強い感染力があるといえます。

 このようなことを考えると、放物線を描いて落下する飛沫だけに注意し、はっきりとした感染は確認されていないとはいえ、エアロゾルをノーマークではいることは、大変危険かと思います。

 少なくとも、直接の飛沫には感染力があることが分かっているため、互いにスクリーンにより遮断したり、一定以上離れておくことが重要です。

換気量による感染防止(飲食店の例)

 上図の例では、一般的なマスクやフェイスシールドを着用するのと同様、咳やくしゃみ、呼気に含まれる飛沫による感染を防止するために、ビニルによる仕切を設置しています。

 エアロゾルについては、感染力は不明ですが、一定以上の高濃度のエアロゾルに感染力があるものと想定した場合、「高濃度エアロゾル範囲」を検討・設定し、互いに当該範囲に入らないように座席等を計画することが有効なのではないかと考えます。

飛沫とエアロゾルによる感染防止範囲の設定

エアロゾルによる空気感染の防止

 コロナウィルスの感染の原因が、ほとんど飛沫や接触のみであれば、空調・換気システムによる影響はそれほど大きくありませんが、エアロゾル感染の可能性が一定以上存在する場合、空調換気設備や建築的な対策方法を検討し構築することが重要であると考えます。

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 具体的にどの程度の濃度のエアロゾルが感染を引き起こすかはわかりませんが、基本的に、極力還気(室内空気を回収し再熱するなどして再供給する方式)を控え、新鮮な外気を取入れることにより、エアロゾルの濃度は抑えられることになります。

 現時点では、エアロゾルによる空気感染の影響の大きさはまだ検証されていないと思いますが、これまでの社会的な対策や感染者数の推移といった経緯を鑑みると、完全に空気を遮断する必要があるほどの感染力ではないかと思われます。このため、微小な程度は互いの吐いた息を吸い込む可能性を許容しつつ、感染を防止する空調・換気方法を検討し、提案・提起していきたいと思います。

 通常の換気設備は、一定以上の酸素濃度の維持や、二酸化炭素・一酸化炭素の濃度の抑制、シックハウスの防止といった目的のために要件が設定され、必要な換気量を確保するように計画・設計されるものでした。
これに対し、感染防止の視点により換気設備が計画されるのは、特に必要性の高い病院や手術室等、特殊なケースに限られていました。
通常、前者は瞬時拡散の条件により、後者は置換空調等により計画されます。
 前者について、実際は排出された呼気は瞬時に拡散するわけではなく、室内の気流に乗ってゆっくり拡散します。このため、即座にエアロゾルの濃度を下げるには、大風量による換気が必要となりますが、これまでの設計よりも必要な換気量が大きくなるということは、より大きなダクトやダクトスペース、貫通孔、大容量の送風機などが必要となり、同時に、夏や冬は冷暖房の容量や消費エネルギーが大幅に増加することとなり、望ましくありません。

 そこで、室内全体の既設の空調換気システムに加え、汚染源(つまり在室・在席者)付近の空気を、負圧により、ドラフトチャンバーや置換空調のように排出する、タスクアンビエント方式の空調換気システムを構成することを提案します。これにより、既設の空調換気システムを活用しながら、大きな無理をせずに感染防止を図ることができます。
 また、置換空調のように、空調換気による気流を一方向に整流し、気流の上流・下流に座席が重ならない配置とすることにより、空気感染を防止することが考えられます。
 次項に、換気量を大きくすることにより高濃度エアロゾルによる感染を防止する方法と、一方向流を発生させて感染防止を図る方法(以下、「気流アレンジメント」と呼びます)について、説明します。


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設計・検証および検査・確認方法

 具体的な事案ごとの設計や、効果の検証、検査・確認方法について解説します。(新築工事・改修工事共)

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従来の気流のシミュレーション方法

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 従来の気流のシミュレーション方法には、一般に、風洞実験と、気流解析(CFD:Computational Fluid Dynamics / 数値流体力学)によるものがあります。

  • 風洞実験
  •  縮小した模型を作成し、実験室内で実際に風を起こし、風の影響を検証します。
    大掛かりとなりますが、得られるデータに信頼性が高く、条件を変更しながらの多角的な検証が可能となります。

  • 気流解析
  •  コンピューターを用いて解析を行うものですが、計算方法自体が完全に確立されておらず、近似的なシミュレーションとなります。
    風洞実験ほど正確ではありませんが、コンピューター上の計算で完結できるため、より低コストで簡易にシミュレーションを行うことができます。
    とはいえ、建築分野では超高層ビルの気流解析等に用いられるものであり、特殊なケースを除き、小規模な建築物や内装工事に用いられることはほとんどありません。

 風洞実験と気流解析は、それぞれ一長一短のため、多くの場合、組み合わせて行われます。
しかしながら、気流解析の建築分野での利用は、主に強風による構造や周囲への影響等を評価するものであり、人体の発熱や自然対流等、変動する多くの要因が重要となる室内の繊細な気流解析は、そもそも条件の仮定自体が困難で信頼性が低くなるものと考えられます。
さらに、ほとんどの場合において、室内空間におけるコロナウィルスの空気感染防止の為の検証には、いずれの方法も高コストとなり過ぎるかと思います。(中国の建築設計事務所がCFDによる気流感染シミュレーションを行っているそうですが)
また、最初から実験・検証しながら計画・設計を進めていくのは合理的ではないため、次項に示すような手法により、設計や検証・検査を行うことを提案します。


設計および検証・検査手法

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 決まった方法があるわけではありませんが、具体的に設計・計画や検証・検査を行う方法について提案します。

  1. 設計・計画段階
  2.  既設の条件を調査・整理し(改修の場合)、気流アレンジメント等の視点を活用し、適切な構成を採用または構築することにより、効果的かつ合理的に感染防止が可能となる設計を行います。

     気流は、後述する方法により可視化することで、振る舞いを検証することができます。
    しかしながら、設計段階においては、室内の構成や設備等の条件による気流の振る舞いを予測する、設計者の能力やセンスが重要となります。
     空調換気設備や気流に関して勉強・研究することにより、必要な見識を習得し、しょくにん的なカンを手に入れることで、手戻りのない、効果的な設計が可能となります。このため、設備や気流についての勉強会や研修の開催も有効かと考えております。

     さらに、計算や数値基等の準を示すことにより、一定程度の有効性を担保する方法も考えられます。

     このように、設計者の技量により設計し、そのまま施工することもできますが、大規模な空間などの場合は、CFDによる検証を併用することで、リスクを抑えて合理的に設計することができるかも知れません。

     いずれの場合も、設計段階では、正確に気流を予測できないため、また、使用時の条件は変化するため、余裕を見込んだり安全側に考えることが必要と考えます。

     尚、感染防止対策は当然重要ですが、冷暖房効果等を発揮できないと、空調自体が意味を成しませんので、これらを両立させる効果的な設計を心掛けることが大切です。
    また、省エネ上、多くの場合で従来より条件が厳しくなるため、熱交換器を導入する等の配慮をすることが重要です。

     その他、建築基準法による内装制限・消防法・条例等、法令への適合が必要となります。行政機関への届出や立会検査等が必要となる場合もありますので、ご注意下さい。

  3. 検査・確認段階
  4.  気流アレンジメントや置換空調とした場合、水蒸気発生装置や線香等を用いて気流をトレースすることができます。
    これらにより水蒸気や煙を発生させ、気流を可視化し、逆流したり拡散して空気感染を起こさないことを確認します。

     計画通りの必要な気流を得られない場合、パーティション等の調整や風量の調整等、条件を修正し、フィードバックを繰り返します。

     さらに、当該施設の運用時には、物品、使用人員、室内のPC等による発熱、窓際ペリメーターゾーンの外皮負荷等、検査・確認時とは条件が変化します。このため、一定程度の条件の変化を吸収可能な余裕を見込むことが肝要となります。
    気流の検査・確認時は、人の位置や動作等、複合的に条件を変化させながら気流を確認することも大切です。

     尚、煙感知器が設置された室での検査・確認の際は、いずれを用いた場合も、あらかじめ養生しておくなど、発報しないように対策をしておく必要があります。また、煙を用いる場合、火気に注意しましょう。

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既設空調設備の改変

 ルームエアコンやPAC(パッケージエアコン)等、既設の空調設備は、吹出の噴流が強く、感染者の呼気および含まれるウィルスを拡散させてしまいます。 このため、これらの吹出口をカバーしつつ吹出空気を必要な個所に送り込む方法や、室内のウィルスを含む還気を再供給させないよう、簡易な仮設ダクトを設置する方法等を提案・提起します。

既設空調換気設備の改造・改変

鉄道車両の空調換気設備の改変例

 (記事作成中)

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 (記事作成中)

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換気量による感染防止

 飛沫感染および高濃度のエアロゾルによる感染を防止するための仕切りや囲いの設置と、換気量を大きくすることを併用することにより感染防止を図ります。


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 換気量を大きくすると、拡散された感染者の呼気中のエアロゾルの濃度を迅速に下げることができます。
このように、換気量により感染防止を期する場合、従来の換気設備による換気量では不足するため、窓を開けっぱなしとしたり、新たに空調・換気設備を計画し直すことが必要になるものと思われます。
 在室者数に対し、十分な換気量を確保する場合においても、近距離での相互の飛沫感染および高濃度のエアロゾルによる感染を防止するため、座席・客席間に仕切を設置することは必須と考えられます。
さらに、座席・客席前方にも仕切を設置し、各席をコの字型の平面を持つブース状に囲うことにより、感染の危険性は大幅に低減できるのではないかと考えます。

飲食店の感染防止(飛沫感染と換気量によるエアロゾル感染の防止)

先ほども解説に用いた図です

 座席・客席の背面も囲うと、さらに空気感染の恐れを低減できると考えられますが、高濃度エアロゾルを含む気流がブース後部に流出する量は小さいものと考えられるため、それほど効果は大きくなく、また、個室状となるため利便性が低下してしまいます。むしろ、手で仕切となるカーテンや扉を開け閉めするため、接触感染の恐れが発生します。
このため、ブース背面は開放して自由に出入り可能な構成とすることが合理的ではないかと考えます。

ブース状の囲いによる感染防止(飲食店・喫茶店用)

ブースやスクリーンにより一人ずつ隔て、空気を一定程度滞留させることにより、咳等による高濃度エアロゾルを緩やかに希釈しながら放出することができます。


ブース内の個別空調換気

 ブース内をそれぞれ個別に換気すると、感染のリスクを大きく低減することができます。
基本的に、室内全体の空調換気(アンビエント)と、ブース内の個別の空調換気(タスク)による、タスク・アンビエント方式の構成とします。

ブース内部をチューブ状のダクトで換気する方法

多数の枝ダクトから、さらにホースで分岐させることなどにより、各ブース内に個別の空調換気システムを形成させることができます。これにより、室内全体で換気を行う方式に比較して、感染のリスクを大きく低減することができます。直天仕上(スケルトン/天井露し:天井を張らない仕上方法)とし、格子状のラックを組むと、比較的容易に設置することができます。

 ブース内換気システムのタイプ

 一種換気システムとすると、ブース内外の感染防止効果が最も大きくなります。二種および三種換気システムは、通路部分にほとんど人が留まらない場合に限られますが、少なくとも在席者同士では、大きな感染防止効果を期待することができます。

  • 二種換気システム
  • ブース内部押出二種換気システム

    各ブースの内部の空気を給気により押し出すシステムです。ブース内を新鮮な空気で満たすことができるため、ブース内は安全となりますが、通路や共有空間には、押し出された呼気を含む空気が流出するため、これらの空間では感染のリスクがあります。

  • 三種換気システム
  • ブース内部吸出三種換気システム

    各ブース内部の空気を排気するシステムです。呼気を含む空気は、局所排気され、通路や共有空間に拡散されませんが、通路や共有空間の空気が感染者の呼気を含む場合、ブース内の在席者が感染するおそれがあります。

  • 一種換気システム
  • ブース内部バランス換気システム

    各ブース内で空調換気を完結でき、外部との気流の流通が不要であるため、ブースを完全に閉鎖的な構造とすることも可能となります(法令等の要件があり、火災の危険性は増大しますが)。最も感染のリスクを低減できます。


     条件により、これらの換気システムのうち適切な方式を選択します。
    尚、ブース内の換気システムは、浮き床とすることによっても実現することができます(記事作成中)。

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一方向流による感染防止~気流アレンジメント

 一方向流を発生させ、在席者同士が互いの風下に位置しないように座席を配置することにより、感染防止を図ります。


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 上述のように、これまでの一般的な換気設備は、換気回数や換気量を基準に計画されていました。しかしながら、感染防止という条件を付加した場合、換気設備の換気量による対策だけでは、感染防止効果は不十分と思われます。

 そこで、一方向流を発生させて感染防止を図る気流アレンジメントの視点により、空調換気設備やパーティション等を計画し、空気感染を防止する方法を提案・提起します。これらは基本的に、以下に説明する、置換空調や局所排気の原理を利用します。


置換空調

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 通常、クリーンルームなどに適用する空調方法です。平行な鉛直方向の一方向流を発生させます。
 サーバールームなどの場合、床下から給気(SA)を供給し、天井から排気(EA)します。在室者の体温やPC等機器類からの排熱により温まった空気は自然に上昇するため、このような空調換気方式とすることにより、汚染空気や排熱を、効率よくごっそりと新鮮な空気と置き換えることができます。

置換空調の構成

 このような置換空調を、より汎用的に適用する構成例を以下に示します。

省エネルギー上効果的な置換空調の構成例

省エネルギー上効果的な置換空調の構成例



局所排気

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 熱や汚染の発生源により加熱・汚染された空気を室内に拡散させず、当該発生源周囲から直接吸い取り排出することにより、室内の空気環境を効率的かつ安全に維持することができます。

ドラフトチャンバーによる局所排気

危険な細菌の操作ブースなどに用いられるドラフトチャンバーは、局所排気を行います。


レンジフードによる局所排気

キッチンのレンジフードもドラフトチャンバー同様、局所排気を行います。

 キッチンの換気は、熱や二酸化炭素、水蒸気等を排出するだけではなく、同時に新鮮な酸素を豊富に取り入れることとなり、火気使用時の一酸化炭素の発生を抑制します。

局所排気による換気システム

 有害物質を扱う作業などに用いるドラフトチャンバーのように、簡易な仕切と組合せ、在室者の周囲をスポット的に排気することにより、感染拡大を防止する空調換気システムを構成することができます。既設の空調システムを活用しながら、追加導入することを想定しています。

開放的な天井面での局所排気について

 上述のように、吸込の気流は直進性がなく、吹出空気と比較して、影響のある範囲(距離)が大変小さくなります。

開放的な天井面での局所排気

 このため、開放的な天井面に排気口を設けて局所排気を行う場合、室内全体を流れる気流の流速に対し当該排気風量が小さいと、下方の感染者の呼気を排気できません。(上図左)

 これに対し、一定程度以上の高さのパーティション等を設置し、室内全体の気流を抑えると、下方の感染者の呼気を排気しやすくなります。しかしながら、これでもやはり室内全体の気流に対し、排気風量が十分大きくないと、局所排気として機能しません。また、排気の気流より室内の気流が優勢となり、これがパーティションを越流すると、感染者の呼気もパーティションを越流し、巻き返した渦に引き込まれ、反対側の下方にも拡散するものと考えられます。(上図中央)

 さらに、パーティションを高くすると、室内の気流はおよそ遮られますが、下方に位置する人の体温により発生する僅かな上昇気流と、当該排気口の吸込気流の相乗効果により、当該パーティションで隔てられたそれぞれの空間内で対流が発生しやすくなり、空気はパーティションを越流せずに、排気口に吸い込まれるか、当該範囲内でゆるやかに対流を続けるようになります。このような状態になると、感染者の呼気も同様に、パーティションを越流しなくなり、当該範囲内に閉じ込めることができ、空気感染防止を図ることができます。

 このような気流の状態を作り出すには、高いパーティション、大きな排気風量と、ライン状の排気口の設置が効果的と考えられます。また、当該パーティションをまたぐ給排気ルートが存在しないことが条件となります。

ブースの閉鎖性と空気感染の防止

 パーティションを天井まで突き付け間仕切りとし、当該間仕切りに沿って席を設け、ブースを形成する場合の気流の振る舞いについて解説します。

ブースでの局所排気と空気感染防止

 壁に向かって席を配置し、上方に排気口を設けると、在席者の呼気を排出しやすくなりますが、対流等、室内に存在する気流に対し、当該排気口による吸込気流が優勢である範囲は非常に小さいため、当該在席者の呼気の多くは、室内の空気の対流する気流に乗って拡散します。(上図左)

 これに対し、排気口を囲うように垂壁を設置すると、天井面の気流が遮断されるため、排気口周囲が室内全体の空気の対流の影響を受けにくくなります。(上図中)
これにより、ブース状の空間が形成され、閉鎖性が高くなるため、席の上部の空気は滞留しやすくなり、在席者の呼気は蓄えられ、ゆっくりと排気されます。
しかし、この場合でも、排気口からの排気速度に対して垂壁下方の開放部分が大きく、ブース内の空気の対流や拡散により、一定量の呼気が、ブース背後に流出していきます。
 この構成は、室内全体の換気と組合せることにより、室内全体の呼気の濃度を抑制し、タスクアンビエント的な換気を可能とします。

 さらに、垂壁に代えてカーテンを設置すると、机や在席者の身体とカーテンの間隙による、細いボトルネック状の部分が形成されます。(上図右)
このボトルネック状の部分はブースの開口部となり、開口面積が小さいため、排気口の排気風量が十分であれば、この開口部では全域に渡り、通過する気流が、ブース内部への吸込方向となります。
 これにより、当該ブース内の空気はブース外部に漏出せず、全て排気口から排出されることになり、基本的に、完全な空気感染の防止が可能となります。
居酒屋等、呼気による感染力が強くなると考えられる使用でも、空気感染を防止することができます。(後述する「施設や用途ごとの適用例」/「飲食店」にて解説します)

局所排気システムの導入例

局所排気システムの導入例(オフィスの例)

後述するオフィスの空調換気システムの例です。各席からの排気により、在席者相互の空気感染を防止します。

局所排気システムの導入例(居酒屋の例)

後述する飲食店のブースの構成例です。ブース内部ではスクリーンにより互いの飛沫感染を防止しつつ、テーブルごと局所排気することにより、室内(ブース外)に呼気を漏らさず、ブース内部では気流を整流させて互いのエアロゾル感染を抑制しています。



水平方向の一方向流の形成

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 完全な鉛直方向の置換空調とするためには、揚げ床(床のかさ上げ)とし、床下にダクトやチャンバーを、床面に吹出/給気口(または吸込/排気口)を設ける必要があります。これには費用がかかり、天井高も圧迫されます。

 これに対し、気流が水平方向に流れるよう給気口や排気口を計画し、在室者が互いに気流の上流側・下流側に重なって位置しないように座席等をレイアウトすることにより、空気感染を防止することができます。

水平方向の一方向流

 尚、室内の空気の対流や拡散といった作用に対し、換気による一方向流の速度を十分大きくすることが肝要となりますが、図のように、線形の給気口や排気口を用いることにより、乱流の発生を低減し、滑らかな層流の形成を誘導することができます。

水平方向の一方向流(立体構成)

 給気口、排気口共に天井面に設置する場合、給気を室内下方まで到達させるべく風速を大きく計画することとなりますが、これにより感染者からの汚染空気を拡散させる可能性も大きくなってしまうため、給気口直下に座席をレイアウトしないようにする等の配慮が望まれます。


水平方向の一方向流(複数列の配置)

 通常、給気口は一定以内の間隔ごとに配置し、冷暖房効果等にムラが生じないように計画しますが、給気口と排気口を交互に配置することにより、複数列の一方向流を形成することができます。
※天井面に吹出口と排気口を配置する場合、ムラの無い空調環境を作り出すため、給気の吹出風速を大きくする必要がありますが、感染者に直射されるとコロナウィルスを含む呼気が拡散されやすくなります。このため、吹出口と排気口の間隔を大きくし、極力吹出空気が直接在席者に当たらないように配置することが望ましいと考えられます。

水平方向の一方向流(複数列の配置/立体構成)

 客席間にスクリーンを設置することにより、より確実に飛沫感染および高濃度エアロゾルによる感染を防止することができます。

水平方向の一方向流(気流の前後の向き)

 従来、冷房は、背中側から当てるのではなく、前面から当てた方が快適と言われますが、咳やくしゃみをした際の飛沫や高濃度エアロゾルが逆流することとなり、隣接する座席に対し感染のリスクを高めることとなります。
 このため、吹き出し空気は、背後から当てる向きとし、流速を抑え極力アンビエント化するか、または、前面から当てる向きとし、スクリーンを座席前方まで十分に延伸する、といった構成を提案します。


水平方向の一方向流(スクリーンによる整流)

 上図のように、客席相互の間に床面から天井面まで達するスクリーンを配置すると、客席相互の飛沫感染を防止することのみならず、気流の対流等の運動を制限し、給気口側から排気口側への一方向の流れに整流する効果を期待することができます。

 上記のように、制気口(給気口・排気口)を単純に平行に配置した場合と比較して、滑らかで均質な気流は期待できませんが、放射状に一方向流を発生させることもできます。

水平方向の一方向流(放射方向)

 左図では互いに向かい合っていますが、この場合、互いの距離を十分に取り、マスクを着用して飛沫感染を防止する等の感染防止対策を併用する必要があります。


水平方向の一方向流(対面の配置)

  互いに向かい合う座席間には、パーティションを設置し、互いの飛沫や高濃度エアロゾルによる感染を防止します。
また、当該パーティションは一定以上の高さとし、上部に排気口を設けることにより、当該パーティションが排気の上昇気流を生む誘導板となり、相乗効果を期待できます。


水平方向の一方向流(事務所への適用例)

 一般的なオフィスレイアウトに落とし込んだ例です。
詳細は、事務所への適用例として後述します。



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スクリーン、ビニルカーテン、パーティション、什器等について

 感染防止の為に設置するスクリーン等の材質や火災予防、除菌についての考察および解説です。

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材質

 カーテン等は、ビニル等、表面が平滑な材質を使用すると、清掃が容易となります。
厚手のシート・パネルは、音もほとんど遮断してしまうため、会話によるやり取りを必要とする部分には、かつての有人切符売り場のように、ピンホール状の小さな開口を多数設けるか、一定の大きさの開口を設け薄いシートを張るなどとすると良いかと思われます。
教室の机を囲うスクリーンは、黒板の文字が見やすいよう、平滑な樹脂板を用いると良さそうです。

火災予防

建築物の規模等の条件により、消防法や条例にて煙感知器の設置義務や消防等の検査義務が発生します。
また、そうでない場合も、コロナウィルス感染防止の為のビニルカーテンによるボヤ事件が早速発生しているそうですので、設置にあたっては、感染のみならず、火災予防上も安全となる運用を心掛けて下さい。

除菌方法

 ブース内等は、特定の人物のみが使用する場合は高頻度の除菌は不要であると考えますが、不特定多数の客が利用する客席などは、客が変わる度に消毒することが好ましいと考えます。この場合、ノズルからミストを噴出させる除菌システムを導入することにより、従業員等の清掃時の感染のリスクを低減しつつ、作業量をも低減することができます。


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施設や用途ごとの適用例

施設や用途による感染防止の適用例

 事務所、飲食店、学校、避難所、乗物等、様々な用途への適用例を示します。

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 以下の用途での具体的な適用例を示します。


住宅その他全般

 あまり大きくない居室等の場合、天井面ではなく、壁面や、壁面に沿った天井側辺のみに給気口や排気口を設置することができます。

折り上げによる空調換気設備デザイン例
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 天井側辺に給気口を設ける場合、折り上げ天井とすると、意匠的に美しいしつらえとすることができ、間接照明も仕込むこともできますが、さらに、吹き出した気流は壁面に沿って床面に到達しやすくなる(コアンダ―効果といいます)ため、気流を乱さず、排気口への滑らかな層流を形成しやすいのではないかと考えます。
 従来、壁下部に排気口を設置することは、手術室などの特殊な用途を除き、とてもまれでしたが、感染防止の為の気流アレンジメントの視点からは、非常に良い効果を生むことになります。上図のように、天井から給気された空気が当該排気口に吸引され排気されることにより、当該室に対して対角に換気することが可能となり、置換空調に近い換気効果を得られます。また、入巾木状に形成でき、折り上げの天井同様、間接照明を仕込んだ意匠的なしつらえとすることができます。


折り上げによる空調換気設備デザイン例

 図のように、壁面側辺に沿った鉛直方向の制気口とした場合、給気口と平行にならないため、乱流が多く発生するものと考えられますが、取り残しの少ない、より置換空調に近い換気が期待できます。

折り上げによる空調換気設備デザイン例

 一定以上の広さのある室の場合、天井中央付近に給気口を設け、壁面下部に排気口を設けることにより、放射状や複数方向に広がる一方向流を形成することができます。

折り上げによる空調換気設備デザイン例 造作家具兼用

 排気口とダクト部分のみを造作家具状に形成した例です。

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ファーストフード店・カフェ

 客席の密度が高くなりがちな、ファーストフード店や喫茶店等の例を紹介します。

喫茶店等連続個別ブース
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飛沫感染防止と換気量により感染防止を図った例です。隣席間のスクリーンにより、飛沫感染を防止しています。

 気流アレンジメントを行わない場合、整流されない気流の逆流に乗った高濃度エアロゾルによる感染のおそれが生じますので、座席間のスクリーンには、十分な高さと奥行が必要になるものと考えられます。上図のように、各席の前方にもスクリーンを設置し、それぞれにコの字形のブースを構成させると、室内の気流を遮断しブース内の空気を一定程度滞留させることができるため、感染防止効果が期待できます。

 尚、テーブルやスクリーン内部は、飛沫やエアロゾルが付着するため、客が入れ替わる度に消毒する必要があります。

カフェ・喫茶店・飲食店 個別ブースによるコロナウィルス感染防止方法

 個別ブースを規格化し家具のように大量制作し、汎用利用可能なように流通させると、社会全体で、感染症に対する早急なレジリエンス向上を図れるものと考えます。パーティションの場合、システム化し、汎用的に様々な条件に適用できる構造とすると良いかと思います。

 気流アレンジメントを行わない場合、基本的に、室内に拡散したエアロゾルの濃度を薄めて感染力を低減させることになりますが、座席数や在室者数に応じた換気が必要となります。
※基本的に、既存の換気設備では必要換気量が不足するため、換気量を大きくする工事等が必要となります。また、感染力を評価した上での具体的な必要換気量は今のところ不明なため、極力気流アレンジメントと併用することが望ましいと考えます。


 気流アレンジメントによる客席構成例

 ここからは、気流アレンジメントにより感染防止を図った客席構成例を紹介します。


ファーストフード店のカウンターの感染防止

窓際に客席を配置し、気流アレンジメントにより感染防止を図った例

 従来、建物外周部(ペリメーターゾーン)の窓際には、日射熱や外部からの熱負荷を打ち消す為、吹出口を設けるのが一般的でした。 しかしながら、省エネ上は、熱負荷を打ち消すより、上述の局所排気のように、排気口を設けて窓際付近の空気を排出した方が有利となります。また、気流アレンジメントによる感染防止の視点からは、吹出空気は風速を抑えたアンビエント空調とし、噴流によりエアロゾルが拡散しないように計画することが肝要となります。


スターバックス等のテーブル席の感染防止

大きな共有テーブル席の例

 スターバックスなどで見られる大きな共有テーブルへの気流アレンジメントの適用例です。
テーブル中央に、向かい合う客席同士による飛沫感染を防止するスクリーンを設置し、直上に風量の大きな排気口を設置することにより、図示する気流を生み出しやすくなります。

 このスクリーンは、室内全体の気流も遮りますが、高さが高いほど、当該気流が越流しにくくなり、隔てられた空間内で対流を起こしやすくなるため、排気の上昇気流を生み出しやすくなるものと考えられます。

 但し、この図のような開放的な構成だけでは、安定した排気の一方向流は形成されにくく、隣席同士のスクリーンもないため、隣席間は十分な距離を置いたり、マスクの着用等の対策を併用する必要があるかと思われます。


喫茶店や飲食店の感染防止の為の気流整流スクリーン

客席相互の間に、床面から天井面まで達するスクリーンを配置した例

 客席相互の飛沫感染を防止することのみならず、気流の対流等の運動を抑制して、給気口側から排気口側への一方向の流れに整流する効果を期待することができます。


 造作カウンターに排気システムを組み込んだ構成例を示します。

ファーストフード店のカウンターの感染防止 排気ダクト組込例

 造作カウンターに排気ダクトおよび排気スリットを設け、排気による一方向流が、安定した一定以上の風速となる範囲内に客を位置させることにより、客の呼気(吐く息)を即座に排出します。

 隣席間および向かい合う客席間にはスクリーンが設置され、飛沫や高濃度エアロゾルを遮断します。

 吐き出された客の呼気(吐く息)や周囲の空気は、造作カウンター下部の排気ダクトに設けられたスリット、および、カウンター上のバックボード頂部に設けられた笠木下のスリットにより、即座に吸引され排出されます。

 排気スリットは、呼気を吸い込むという視点ではカウンター上のみの設置で良いかもしれませんが、このようにカウンターの上下に設置し、足元まで気流を循環させることにより、とりこぼしなく、安定した一方向流を維持し、かつ、快適な空調効果を提供することができるのではないかと考えています。

 この図の例では、カウンター下の横引き枝排気ダクトは、横引き主排気ダクトに合流し、柱型として設置された縦ダクトにより天井内に誘導され、通常のダクトルートに合流させる構成としています。

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飲食店・居酒屋

 居酒屋のように、呼気量が大きくなり、飛沫・エアロゾル共に感染の危険性が大きくなる飲食店での感染防止方法の提案です。

飲食店・居酒屋のテーブル席の感染防止(不使用時)
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 1つのテーブルおよび客のグループに対し、全体をビニルカーテンで覆い、ドラフトチャンバー状の空間を構成します。

飲食店・居酒屋のテーブル席の感染防止(使用時アニメーション)

 ブース内部ではスクリーンにより互いの飛沫感染を防止しつつ、テーブルごと局所排気することにより、室内(ブース外)に呼気を漏らさず、ブース内部では気流を整流させて互いのエアロゾル感染を抑制しています。テーブル中央部はシェア&乾杯スペースとして、パーティションに開口を設けてあります。

 排気風量が不足した場合、ブース内のエアロゾルの濃度が高くなり、グループ内での感染のリスクが増大します。
このため、排気風量は十分に確保し、ビニルカーテンは天井に極力密着させてカーテン下部から排気口までの一方向流を安定して形成させることが肝要となるものと思われます。

 ブース内は3種換気とし、冷暖房に関しては、基本的にはアンビエント空調となりますが、ブース内の一方向流を乱さない範囲で、ブース下部に、冷温風の噴流を到達させたり、フレキシブルダクト(吹出をキャンバスダクトとすると良いかも知れません)を延伸させたり、コンベクターヒーターやスポットクーラーなどを局所的かつ補助的なリヒーターとして近接した位置に設置すると、安全かつ有効に冷暖房効果が得られるものと思われます。

 ※尚、必要排気風量はかなりの大きさになるのではないかと思われます。
 テーブル上のスクリーンについても、上図では乾杯のし易さや料理の受け渡しの容易さを考慮して低く描いてしまいましたが、感染防止の為には、席に座った際に頭より高くなる程度の高さは必要なのではないかと考えます。


 <改良案>

飲食店・居酒屋のテーブル席の感染防止(シェアスペース・カウンター付)

 感染防止効果が大きく、さほど大きな風量を要しない改良案を追加しました。

 着席者相互を完全に区画してそれぞれにブースを形成させ、背後のカーテンや暖簾によって気流を低い位置から誘引することにより、着席者の呼気をブース外部に漏出させずに天井から排気させます。

飲食店・居酒屋のテーブル席の感染防止(気流説明図)

 中央にはシェア&乾杯スペースとして、パーティションに開口を設けてあります(とはいえ唾液の付いたグラスやジョッキを乾杯するのは危険かもしれません)。シェアする料理に唾等の飛沫がかからないように、上部には飛沫防止カバーを兼ねたカウンターを設置しています。上段は、とりわけた料理やビール、独り占めしたい小皿などを置くことができます。

 テーブル中央のシェアスペースは、完全に閉鎖した構造とし、上面のカウンターを開閉可能な蓋とすると、より強力な感染防止を図れます。
さらに、シェアスペース内にスライド可能なトレイを設置し、上面のカウンターの代わりに、前面に開閉可能なカバーを設置すると、座席間の空気感染を完全に遮断しつつ、カウンター上面を常時利用できるようになります。

感染防止を図るシェアスペース

 トレイは、皿とセットにし、任意の水平方向にスライドできる構造とすると、シェアスペース内で複数の皿を奥行方向も含めて自由に移動できるようになります。


 飲食店のカウンター席

寿司屋、バー等、飲食店の向かい合うカウンターの客席

 お寿司屋さんや屋台、バーなど、厨房と向かい合うカウンター客席の感染防止の構成例について解説します。

 お寿司屋さんやバーなどのカウンターは、壁や窓に向かう喫茶店等の客席と異なり、客と調理人が向かい合い、会話等のコミュニケーションを交えながら直接飲食を提供します。
このため、厨房・客席間や隣席間には、感染防止を図りつつ、料理等の受け渡しや会話が可能なスクリーンの構造が求められます。
そこで、ここに示す例では、それぞれの空間を隔てるスクリーンを、客・調理人それぞれの頭から一定以内の高さとし、会話ができるようにしています。また、厨房・客席間のスクリーンには、料理等を受け渡すカバー付きの配膳口を設け、受け渡し時以外は飛沫や呼気を通過させないようにしています。

寿司屋、バー等、飲食店の向かい合うカウンターの客席

 カウンター席の背後は、一般的な屋台のように、下端が腰高程度の暖簾(カーテン)が吊るされ、隣席間のスクリーンと共に客席のブースを形成します。
厨房・客席間上部に、排気スリット付きの排気ダクトを設置し、カウンター席や厨房の空気を吸込み排気します。
 このとき、カウンター席は、背後の通路部分に給気された空気を暖簾下部より導入し、厨房側は、厨房用給気口から給気された空気を厨房内を通過させ、排気スリットから排気します。
 ここで、レンジフードを作動させると、風量の大きさにより、客席側の空気を厨房に引き込むおそれがあります。これを防止するには、レンジフード付近に外気取入口を取設ける、レンジフードの換気扇と厨房用給気を連動させ風量をバランスさせる、カウンター席背後の通路と厨房間に、客席および暖簾、スクリーン等の無い開放的な部分を設け、パスダクトのように、空気の流通を当該部分に集約させる、もしくは、カウンター席と厨房間のスクリーンを天井まで突き付け、「スクリーン、ビニルカーテン、パーティション、什器等について」の項目で解説したように、音声を通すための開口を設ける、といった対応を採ることが考えられます。

空調換気により感染防止をしたカウンター客席とテーブル席の構成例

カウンター席とテーブル席の組合せ例です。このような構成方法は、多くの飲食店に適用できるのではないでしょうか。

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事務室

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 上述の気流アレンジメントの解説の項目にて示した構成例に、机や座席、パーティション、空調換気設備を落とし込んで計画したオフィスレイアウトの例を示します。


オフィス・事務所でのコロナウィルス感染防止のためのレイアウト

 このように一方向流を発生させ、空気感染を防止するオフィスレイアウトを計画してみます。

オフィス・事務所でのコロナウィルス感染防止のための設備計画

 各席をブース状に囲い、それぞれにドラフトチャンバー状の空間を形成させることにより、呼気を外部に漏らさず排出することができます。
当然、背面も囲った方が感染防止には効果的と考えられますが、通常、煙感知器の設置等、消防・火災予防に関する要件が発生します。


 現在のところ、コロナウィルスの感染力は解明されていないため、どの程度の感染防止対策を講じる必要があるのかが分かりません。このため、以下に、パーティション等の設置による感染防止策の例を、複数レベルにて示します。段階的に感染防止レベルが上がる順に並べています。


事務所でのコロナウィルス感染防止対策―レベル0

 呼気を遮るものが何もない状態です。席同士の距離にもよりますが、マスクを着用せずに大声を発生したり、咳やくしゃみをすると、簡単に感染させる可能性があります。


事務所でのコロナウィルス感染防止対策―レベル1

 PCを置くだけでも、向かい合う人同士の飛沫を遮断する効果は意外に大きいかもしれません。
※フリーアドレス制など、互いの席・PCを利用し合う環境では、キーボード、マウス、机上は、見えなくとも飛沫で汚れており、人が入れ替わる都度、消毒するルールなどとすることが大切かと考えます。


事務所でのコロナウィルス感染防止対策―レベル2(スクリーン設置)

 従来の、一般的な目隠しのパーティションです。目線程度の高さのものが多いため、マスクを着用しない状態で、やや上向きに咳をしたり、向かいの座席に話しかけたりすると、吐く息の噴流や飛沫が対面する席の人にかかり、感染するリスクがありますが、このパーティションだけでも、感染の危険性は大幅に低減されているものと思われます。


事務所でのコロナウィルス感染防止対策―レベル3(パーティション設置)

 レベル2のパーティションに加え、隣席間にもパーティションを設置した例です。こちらも一般的なパーティションの構成ですが、感染予防効果は当然さらに高まるものと考えられます。着席した状態での作業中は、通常、正面を向いているため、咳・くしゃみ等による噴流は正面に向かいますが、正面のパーティションに衝突した噴流は、上下左右に拡散します。このとき、隣席間にもパーティションが設置されていれば、隣席同士の感染のリスクは低減できます。
また、机上はコの字型の平面を持つ閉鎖的な空間となるため、気流が対流し、室内の気流の影響を受けにくくなり、高濃度エアロゾルが拡散しにくくなるものと考えられます。
但し、隣席の人と向かい合って会話をしている間は、当然感染の可能性が高くなります。また、マスクを着用している場合、咳やくしゃみの正面方向への噴出は遮られますが、通常のサージカルマスクの場合、上下や側方には一定量の飛沫が噴出するようですので、側方へ吹き出した噴流や飛沫による隣席への感染のリスクは一定程度存在するものと考えられます。



事務所でのコロナウィルス感染防止対策―レベル4(ブース化)

 レベル3の場合、パーティションの高さが低いため、室内全体の気流はほとんど遮られず、パーティションを越えて流れるものと思われます。このため、感染者が排出する高濃度エアロゾルは、気流に乗って広く伝達されるものと考えられます。
これに対し、パーティションを高くすると、当該気流は一定程度遮断することができます。さらに、レベル2で示した、机の背面のパーティションの高さを大きくし、上方に排気口を設置することにより、当該排気口に立ち上る上昇気流を誘導することができ、島をまたいで流れる室内全体の気流の速度に対して優勢とすることで、島をまたがせないようにすることができます。これにより、室内全体での空気感染を防止することができます。


事務所でのコロナウィルス感染防止対策―レベル5(対策済)

 レベル4でのパーティションを天井まで突き付け、隣席間のパーティションは袖壁状に拡大しています。
また、この袖壁状のパーティションの上部には垂れ壁を設置しています。
※パーティションは天井面まで立ち上げると、消防法に則った届出が必要となります。 尚、垂れ壁や天井に突き付けるパーティションは、防煙区画の一部として計画すると合理的かと思われます。
これらにより整流される気流や空気感染防止の効果については、次に解説します。


事務所でのコロナウィルス感染防止対策―レベル5(空調換気設備と気流)

 レベル5とした場合の、空調換気設備や気流の流路を示しています。

 各席はブースを形成し、通路側に吹き出した給気がこれらのブースに吸い込まれる構成とすることにより、流路上での空気感染を防止します。

 ※通路部分に人がいる場合は感染のおそれがありますが、通路部分は基本的に人が長時間とどまらないものとして検討しています。

 また、各席のブース入口上部に垂壁を設置することにより、給気が天井を伝って直接排気されるショートサーキットを防止しつつ、ドラフトチャンバー同様の効果を提供します。これにより、着席者の周囲を通過する、一定以上の風速の、安定した一方向流が維持され、より確実に感染防止を図ることができます。


事務所でのコロナウィルス感染防止対策―レベル5(カスタマイズ例)

 ブースが構成されることにより、各席はプライバシーが向上し、プライベートスペースの性格を帯びるため、好みに合わせたデコレーションが可能となります。
従来の日本のオフィス環境は、恐ろしく無機質でしたが、これからは、従業員の個性や多様化を積極的に受容する姿勢を持つことも大切なのではないかと考えます。
※規模や用途によっては、消防法により、防炎カーテンの使用が義務付けられます。


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学校

 学校の教室内での感染防止方法について提案します。

学校の教室での感染防止のためのレイアウト
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 現在、教室内での感染防止策として、机の間隔(生徒同士の間隔)を、1m~2m空けることが推奨されています。
教室の広さに対して生徒数が少ない場合は問題ありませんが、そうでない場合、2m空けるのは困難でしょう。

 そこで、机の周囲をスクリーンで囲い感染防止を図る方法を提案します。

<参考>
既にニュース動画で、コの字型に曲げた、透明シートの窓を持つ段ボールのパーティションで机を囲った事例が紹介されていました。
Youtube ANNニュースチャンネル/教室に段ボール仕切り
こちらは段ボールなので、簡易に製作でき、畳んで持ち運びや格納が容易だと思われます。また、柔らかい材質のため、衝突などにより生徒がケガをする心配がほとんどありせん。

 教室内は均質かつ高い密度で机が配置されるため、空調換気による感染防止方法としては、上記ニュースのように、机ごとにブースを形成し、飛沫感染および高濃度エアロゾルによる感染を防止し、かつ、室内全体で大きな換気量を確保する構成とすることが容易かつ合理的かと考えます。

 ブースは、段ボールで製作することもできますが、少なくとも前面の窓は、黒板の文字を問題無く読み取れる平滑なフィルムとする必要があります。
また、側面は、着席者の顔の側方まで延長することで、マスク着用時の咳やくしゃみ、また、横を向いておしゃべりする際の感染防止に繋がるものと考えます。


 <ブースの形状>

教室内でのコロナウィルス感染防止のためのブース・スクリーン・パーティションの形状

ブースの形状は、主に、机の上に置くタイプ、床置きタイプ、コの字型、L字型とすることが考えられます。

 コの字型の場合、より確実な感染防止の効果を期待できますが、着席時・移動時の動作の邪魔になりやすく、折り畳めない構造の場合は嵩張り、格納・運搬上不便となります。L字型の場合、設置時の安定性が悪い為、机などに固定する必要がありますが、開放的で便利かと思います。

机を囲むL型のパーティションによる感染防止のための配置方法

L字型のパーティションは並べて配置すると、前後左右それぞれの隣席間を遮断することができ、感染防止効果はコの字型と大きく変わらないのではないかと思います。


 <ブースの個別換気>

感染防止の為の机を囲むブース毎の個別空調換気システム

教員用の感染防止スクリーンにより生徒達の強すぎる「圧」からも身を守ることもできます。

 パーティションを設置しても、教室内は高密度の空間となるため、確実な感染防止を図るには、かなりの大きさの換気量が必要になるものと思われます。
(目下、感染防止のための必要換気量は不明ですが)
また、在室者数が多く、空調負荷が大きいため、大容量または複数台の熱交換器を設置することが望ましいものと考えます。

 尚、タスクアンビエント方式として、ブース内を個別に(タスク)換気すると、より大きな感染防止効果を期待することができます。詳細は、換気による感染防止の項で解説しています。
また、避難所の感染防止方法の提案の項目で紹介する、浮き床ユニットによる置換空調を導入すると、よりスッキリした構成でブース内の空調換気を行うことができます。鉛直方向の置換空調とする場合、均質かつ確実な一方向流を形成しやすいため、ブースのスクリーンは、最小限のものとすることもできます。


 <安全対策>

学校教室の机の感染防止スクリーン L型

 パネルの角は、丸めるなどして接触時の怪我を防止します。ヒンジ部はビニルテープなどとすることができますが、両面から挟むように貼ると、ねじれなどの力を受けても剝れにくくなり、耐久性を向上させることができます。


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避難所

 導入が容易で、快適な空調を可能にしつつ、高度に感染防止を図ることのできる避難所の換気システムを提案します。

避難所ブースの空調換気システム
  • モジュール構成により、自在なブースレイアウトに対応できます。
  • 各ブース内に新鮮な空気を直接供給する置換空調により、快適な空調環境を提供しつつ、避難所内でのコロナウィルス等による感染を防止します。

システムの形成方法

  • 構造について
  •  中空空間を創出するグリッド状の浮き床モジュールを、相互に気密パッキンを介し接続させながら敷設し、構成する浮床全体の外周を気密パネルで塞ぐことにより、浮床全体で一体的なチャンバー(小空間)を形成させます。

    避難所の空調換気システムのモジュール構成
  • 接続について
  •  空調機や換気ファンに接続したダクトを浮床の一部に接続し、各ブース内に吹出口(または吸込口)モジュールを配置することにより、各ブース内の鉛直方向の置換空調を可能にし、ブース相互の感染を防止します。

    避難所の空調換気システムダクト接続 避難所の空調換気システム給排気ユニット
  • 構成方法について
  •  設置する体育館等の既設の空調換気設備に合わせ、以下に示す ①押し出し ②吸い出し ③バランス型のうち、適切な構成方法を選択して構成します。


① 空調済空気をブースに供給する押し出し置換空調・換気方法

 ダクト接続タイプのPAC空調機等を使用する施設に最適です。
②に示す構成より、高い省エネ・空調効果を期待することができます。

避難所の空調換気システム置換空調

 既設空調機出口側のダクトまたはチャンバーに、避難所使用時用の吹出接続口および遮断ダンパーを設置しておき、非常時には、断熱フレキシブルダクト(樹脂等による変形自在なダクト)で当該浮床モジュールに接続できるようにします。

避難所の空調換気システム個別給気構成

 吹出口モジュールの吹出口を開度調整付のものとすると、供給空気量を調整でき、ブース内を好みの室温に個別調整することができます。(一定範囲に限る)

避難所の空調換気システム給排気ユニット

※ 上図では、ブース前面をカーテンによる仕切(出入口)としていますが、パネルや扉を設置してブース前面の気密性を高くすると、各ブースの熱環境やプライバシーを向上させることができ、さらに、通路側への空気の漏洩による感染を防止することができます。

② ブースの空気を吸い出す置換空調・換気方法

 天井カセット式PAC空調機等を使用する施設に最適です。

避難所の空調換気システム置換空調

 既設の換気設備の方式が3種換気の場合、排気ファンを浮き床モジュールに接続します。
多くの体育館等の既設空調換気システムに適用しやすく、接続が簡単なため、導入が最も容易になるものと思われます。

③ 給排気バランス型置換空調・換気方法

 モジュール間の気密パッキンに代えて、断熱性のある遮断パネルを挟み込むことにより、浮床内にダクトを形成することができます。

避難所の空調換気システム個別給排気構成

 これにより、各ブース内で給気・排気双方を行うことができるようになり、各ブースは完全に閉じたプライバシーの高い空間とすることもできるようになります。
さらに、換気系統・空調系統を分けたダクト構成とし、繊細な温度調整をすることも可能です。

 尚、給排気のいずれか一方を、縦ダクトユニットにより床モジュールから取り出し、ブース内の高い位置から給気/排気させる構成とすると、ブース内を、より効率良く空調換気することができます。

避難所の空調換気システム給排気縦ダクト

 ※ ダクトはパネル内に収まる(パネルと一体化した)構成としても良いですが、パネルの厚みが大きくなり、通常時の格納が不便になるものと思われます。

モジュールの構成について

 さらに、最小限の構成とし、通常時はコンパクトに格納しておき、非常時には簡単に設置できるシステムを検討中です。

浮床モジュール別案

 体育館等、平滑で気密性の高い床面を有する避難所では、浮き床モジュールの底板を省略することができます。
 上記③のように、浮き床モジュールによりダクトを構成する場合は、仕切りとなる板/フレーム底辺に気密パッキンを設置します。

その他

電気配線とノマドワーク

 浮床内は電気配線も自在なため、ブース内での電源使用を可能にします。
PC作業等を可能にすることで、避難時のQoL(生活の質)を向上させると同時に、避難者のノマド/テレワーキングおよび社会復帰・業務復帰を強力に支援することができます。

避難所内ノマド・テレワーク
省エネと非常時の空調設備の稼働

空調熱源に地中熱を利用すると、通常時の空調エネルギーを節約することができ、また、避難所としての利用時には、地域への電力の供給が停止しても、非常用発電機等の小電力により空調環境を提供することができます。

避難所の空調換気システム置換空調省エネ地中熱利用構成例

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病院・診療所、体育館、競技場、その他施設

 (記事作成中)


通路

 飲食店等、多くの施設において、単位時間・単位面積あたりに通路上に位置している人は、在席している人と比較して少なくなるため、客席等の居室的用途の部分に対し、感染のリスクは小さいものと思われます。また、通路部分は移動に供するスペースであるため、感染防止の視点からも、局所的な給排気が必要となる箇所が少なく、おおむね通行者数に見合う換気回数を設定することが適切なのではないかと考えます。制気口(給気口・排気口)は、小さな間隔で配置することで、局所的に汚染した空気を排出しやすくなり、高濃度エアロゾルによる感染のリスクが高い範囲を抑えることができるかと思います。

乗り物

見てみる

 建築物の屋内同様、乗り物にも換気設備があります。 乗り物の場合、建築物と比較して、圧倒的に収容人員の密度が高いため、建築物より大きな換気量を設定しているものと思われます。
しかしながら、コロナウィルスの感染防止の視点からは、既設の換気設備だけではやはり換気量が不足するのではないでしょうか。

 車やバス、鉄道車両の多くは、窓を開けて換気をすることができます。春秋の中間期は、暑すぎず寒すぎず、十分に換気をすることで空調に代えることができるため、窓を開けて運転するだけで、感染防止を図りながら、不満のない空気環境を提供することができます。
 しかしながら、梅雨に入ると、雨が降りこむため、窓を開けての運転が難しくなります。

 梅雨入り前にコロナウィルスの流行が終息して再流行のおそれが無くなった場合は問題無いかと思いますが、そうでない場合、窓を閉めて運転することで、再び感染のリスクを増大させるのではないでしょうか。

 こういった見地から、乗り物内における感染防止のための換気方法を検討し、提案したいと思います。

車・タクシー

乗用車の場合、窓ガラスの結露防止(解消)の為、大きな風量の換気設備が装備されています(エアコンの外気導入モード)。
このため、換気量自体は十分かもしれませんが、非常に狭い空間内に複数人が近接した状態で乗車するため、窓を開け、走りながら空気を入れ替える方が安全でしょう。

乗用車やタクシーの窓の換気用バイザー(雨の浸入防止)

 最近は減少しましたが、雨の中でも一定量窓を開けて換気することができる、バイザーの設置が有効かと考えます。喫煙者の方なら、圧倒的な便利さをご存知かと思います。
タクシーの場合、通常装着されていると思いますが、後部座席の窓にもバイザーを設置すると、前後の窓を開けて、室内の空気を入れ替えるように換気できるため、より良いかと思います。

鉄道・バス

窓を開けての換気

 5月現在の時点で、少なくとも首都圏の鉄道会社の多くは、コロナウィルス感染防止のため、自主的に窓を開けて換気しながら運行しているようです。今日の感染者数の抑制の成功の背景には、この取り組みによる効果もあるのではないでしょうか。

 そこで、梅雨以降も窓を開けて換気を継続する方法として、車の窓のバイザーのようなものを鉄道車両に取り付ける方法を提案します。

鉄道車両用窓の換気用バイザー(雨の浸入防止)

 窓のサッシの奥行きが大きい場合、平板に近いポリカーボネートの成形品をサッシの溝内に嵌め込み設置することもできるかと思います。

既設の空調換気設備の改変

 盛夏は暑すぎて換気だけでは当然不十分ですが、換気(排気)により熱を排出させながら冷房の強風を直接乗客に吹き付けるように気流を整流させると、感染防止と冷房を両立できるかと考えます。
 さらに、座席下から冷風が吹き出すようダクトをアレンジできれば、窓からの換気と併せおよそ置換空調が可能となり、ラッシュ時の大きな省エネルギー化・空調効果向上をも可能にするのではないか、と考えます。

 このように、既存の空調・換気システムを活用しつつ、気流の流路や方向等を変更し、置換空調とすることや、気流アレンジメントの手法を取入れることにより、猛暑など厳しい気温条件での、車内の空気感染防止を図ることが可能となります。

 鉄道車両の空調換気設備の構成は、車両により、様々なバリエーションがあるようです。
ここでは、京王線の車両での空調換気設備の改造例を勝手に検討してみました。

列車車内の空調換気方法の改変によるコロナウィルス感染防止方法の提案

 通勤電車の多くは、空調設備として、満員状態での運転に対応できる大容量のヒートポンプパッケージエアコンを天井に備えており、ダクトレス化のため、換気設備の制気口も完全に分けていることが多いのではないかと思います。 このため、空調設備は、還気を再加熱(冷却)して室内を循環させているものと思われますが、空気感染防止の視点からは、空気を循環させず排出し、置換空調を行う方が安全となります。
上図の例では、外気接続口とパッケージエアコンの空気の吸込口とをカバーで被覆して連絡させ(ダクティングし)、外気接続口の排気ファンを電気的な方法または機械的な方法により反転させることで給気ファンとして機能させ、取り込んだ外気を直接加熱または冷却して車内に供給するようにしています。 ベンチ下部の壁面に新たに開口を設け排気ファンを設置することにより排気が可能となり、車両は高度な置換空調が可能となります。排気は乗降口脇や車両端部にて縦ダクトにより天井付近に誘導し、熱交換器により外気と熱交換を行うと、省エネ上も高効率とすることができます。

航空機

 航空機の機内についても、遮断シート・パネルの設置や、気流アレンジメントを適切に計画し導入することにより、機内での感染の確率を大幅に抑制できるものと考えております。

(記事作成中)


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参考リンク


終わりに

 本ページで紹介した感染防止方法は、記事を書き起こしながら、自らも「大げさだな」「ここまでする必要あるかな」と自問自答を繰り返していました。
コロナウィルスの感染が終息し、何事もなかったかのように日常を取り戻せたなら、それは何よりですし、ここに紹介した方法は、大仰過ぎだよ、と笑って頂ければ結構です。

 しかしながら、再び感染拡大の火種が残る社会となった場合や、予想されたように「Withコロナ」と言われる状況が継続することになった場合に、多くの事業や活動が再開できず、立ち行かなくなるケースがこれからも後を絶たなくなるのではないかと考えられます。
その時に、立ち行かなくなった方々にとっては、決して「大げさ」などではないのではないでしょうか。

 事業者の皆様は、現在必要ないと判断したとしても、このような対策方法が存在することを覚えておいて頂き、最悪のケースを回避して頂ければ、と思います。

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